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レレレのおじさん

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レレレのおじさん


レレレのおじさんは 掃除の達人である

この三十年間 人生の半分近くを

掃除することで 糧を得てきた

だから おじさんは道具を選ぶ

気がつくと いつも一等良いホウキを

握っているのである

そして エヘラ エヘラ と笑いながら

アスファルトの上を掃いているのであった


レレレのおじさんは フォークリフトにも乗る

パクパクパクと 口を開け閉めしながら

後ろも見ずに バックする

先日も人に当たり さんざ怒られたが

それでも矢張り 後ろを見ずに

バックし続けているのである


ある人曰く

質の劣る人間は 量をこなすべきであり

レレレのおじさんには

掃除しか取り柄が無いそうである

彼はおじさんを ○○公と呼び捨てにし

嫌な仕事 汚い仕事は

全ておじさんにさせる

仕事の始まりは掃除であり

仕事の終わりも掃除である

彼の人生はきっと終わらない


横山さんのおじさんも又

レレレのおじさんを いいように使う

コーヒーを買いに行かせ

よく小馬鹿にして 説教をする

そのおじさんは レレレのおじさんを

自分よりも下等な生物であると

思い込んでいるようであったが

あるボーナスの時期

レレレのおじさんよりも少ない

自分のボーナスに

心底 愕然としている

姿を目撃したことがあった


おじさんの趣味は 舞踊鑑賞と

写真収集であり

それは相当

年期の入ったものであるらしかった

舞踊とは 女の人が舞台の上で

洋服を一枚づつ脱ぎながら踊る踊りであり

写真とは

最後のあらわな姿を写したものである

一枚五百円で撮らせてもらった

そのポラロイドが おじさんの宝物であり

或る時に 通勤の列車の中で

見ず知らずの女子高生達に

見せてあげたりしたらしい

それはそばにいた同僚が

心臓も凍ると思う程の 光景だったらしい


おじさんは農家の一人息子であるが

家はお姉さんが継いだ

おじさんには嫁を持たせ

財産を分け与えて 分家させたのであった

だからおじさんは 掃除するのにも

困る程の大きな家に住み

二人の息子と孫に恵まれて

暮らしているのである


おじさんの生き甲斐はストリップであり

家にお客さんがある時は

一万円持たされて家から出されるのである

息子さんの嫁取りの時など

一言も喋るな と

奥さんに言われたらしい

奥さんの入浴を覗いて

頭から お風呂の水をかぶせられたり

お嫁さんの お風呂を覗いて

別居するようになった

そんなことも おじさんは

ペラペラと自分から喋るのであった


おじさんは お祭りと

神社やお寺や地域の集まりが大好きで

ストリップの話をしだすと止まらなくて

一日千円のこずかいを

貯めることも出来なくて

突然主語不明の話を始めるし

会話のキャッチボールの球を

打ち返すのである

年末調整が近づくと 

靴を買うんだ 靴を買うんだと

毎年言っている そのくせ

「年末調整なんて 当てにならない」

と自分で言い出して

しょぼくれてしまうのも常であった


レレレのおじさんは

レレレのおじさんであり

レレレのおじさん以外の何ものでもない


だから おじさんは 掃除をする

何を言われても どんなに言われても

おじさんは黙って掃除をする


強いものには 黙り

弱い物には 

意地悪をするおじさんではあるが

いつもいつも ホウキを握って

そこら中を掃いて回るのである

自分の持ち場も 他人の持ち場も

時間一杯 おじさんは掃き続ける

誰もやらない 汚い仕事も

おじさんは進んでやる

俺の仕事だと言って やっているのである

おじさんの事をバカにする人はいる

おじさんの事をどなる人もいる

でも おじさんと同じ事をする人はいない

黙って おじさんにさせるだけである


夏の暑い日 おじさんはペタペタと歩く

冬の寒い日 おじさんはフラフラと歩く


ペタペタとフラフラと

春夏秋冬をホウキと共にすごすのであった

いつも 一番上等なホウキと共に

             

             おわり


by fundarike | 2020-05-04 20:25 | 詩のようなもの