サヨちゃん
2020年 05月 05日
「サヨちゃん」
サヨちゃんの 結婚生活は
手取り十二万の給料で始まった
旦那は月の内 半分だけ働き
サヨちゃんは家庭を守った
「一体、幾ら貰ってるの?」
「僕の給料は、十二万です」
仲人さんが心配して聞いた時
旦那は胸を張ってそう答えた
「サヨちゃん、あの男
本当に 働かんぞ!」
仲人さんの言葉 サヨちゃんは
どう思って聞いたのか
旅先で知り合った
世間知らずの二人は
ママゴトの様な結婚生活を
それでも何とか続けてゆく
新聞もなく
電話もなく
一本の大根を買うのにも
店から店を走り回った
ある日のこと
仕事から帰った
旦那を迎えた サヨちゃんは
泣きそうな顔の サヨちゃんで
聞いてみると
十枚綴りのお風呂券
一枚使って
あとは洗濯
手の中にある紙屑を
使えませんかと
お風呂屋さんへ
言ったけれども 駄目だった
お風呂屋の おばちゃん
それでもすまなそに
笑っていたよ と
サヨちゃんの 目から涙がポロリ
金はないけど
時間はあった
車はないけど
自転車 貰った
安売りの 店でやっと買った
自転車と
友達のくれた 古い
自転車
休みの日には おにぎり持って
大原にも行った
鞍馬にも行った
加茂川の源流にも行った
三万円の家に住み
来るのは旦那への請求書ばかり
それでも それでも
サヨちゃんは 旦那の借金払い続けた
十年の歳月は巡り
サヨちゃんも
毎日忙しく
働いている
旦那も今は人並みに
働いては 人並みの
給料を サヨちゃんに
持ってくる
いろんな人からの
贈り物や貰いもの
そこから始めて
十年経って
旦那をちゃんと
ボンさんの修行に出して
家を守って
十年経って
「そうかい そうかい
しあわせかい」
仲人さんの言葉を聞いて
サヨちゃんは とてもうれしかった
「三年経ったら
捨てられる」
亡くなったお父さんの心配も
今の所 外れている
旦那と一緒に カヌーに乗って
旦那と一緒に 四国を歩いて
旦那と一緒に 借金返して
旦那と一緒に 喧嘩をしながら
それでも最後は
旦那と一緒に
極楽の 蓮の上で逢えたなら
幸せだと サヨちゃんは笑う
働かない 旦那
金のない 生活
結婚への 夢や理想は
始まる前から 壊れてて
けれども 最初に話してくれた
言葉に 嘘がなかったから
ついてきたのと
サヨちゃんは 言う
二人して すれ違うよな 生活をして
夕食は 誰が造るのと 喧嘩までして
それでも 毎月 給料を
貰っても 口座は マイナスで
ボーナスは 口座から
友達連れて 出て行くし
旦那は 勝手に
カヌーの道具 揃えるし
十年経っても
二十年経っても
そんな生活は そのままで
続いて行きそな 気配です
けれども けれども サヨちゃんは
けれども けれども サヨちゃんで
けれども けれども サヨちゃんは
けれども けれども サヨちゃんで
お金なければ 無いように
心配あれば 有るように
雨が降れば 降るように
風が吹けば 吹くように
笑っていたいと 思ってる
信じていたいと 思ってる
仏様
見てくださってると
思ってる



